千葉運輸支局長に加藤 幸生氏が就任

地域の実情に寄り添い、必要な支援へ


千葉運輸支局長に就任した加藤幸生氏に、千葉の運輸行政を取り巻く課題、成田空港をめぐる物流・旅客の現状、人材確保、交通空白対策、趣味や休日の過ごし方などについて聞いた。

――千葉運輸支局長としての抱負をお聞かせください。

加藤氏 各運輸業界で人材不足がかなり顕著になってきていますので、我々として何かお手伝いできることがあればしていきたいと考えています。

前任地の埼玉運輸支局にいた時にも、人材確保については様々な施策に取り組んできました。そうした過去の経験も活かせることがあれば、千葉でも取り組んでいきたいと思っています。

また、最近では原油価格高騰の影響もあります。燃料だけでなく、整備・販売の分野ではシンナーや潤滑油など、仕事をしていく上で必要な油類が手に入りにくいという声も聞いています。運輸局として直接対応することが難しい部分もありますが、業界の皆様の声をなるべく拾い上げ、関東運輸局を通じて本省へ伝えていければと考えています。

――貨物分野では、成田空港の航空貨物が千葉の大きな特徴です。荷待ち時間や人材不足については、どのように見ていますか。

加藤氏 成田の航空貨物の荷待ち時間については、20年ほど前に運輸局の交通政策部で物流を担当していた際に、少し関わったことがあります。まさに荷待ち時間の問題解消について検討していた時期がありましたので、その時の経験を今の立場でも少しでも活かせればと思っています。

航空貨物に関しては、関係者が多岐にわたるのが難しいところです。エアライン、上屋、CIQ(税関・出入国管理・検疫)、そして貨物事業者と、様々な関係者がいます。特に輸入品は一度そうした手続きを通らなければならず、通常の貨物とは時間軸が違う部分があります。また、航空貨物業界の慣習的なものもいろいろあると聞いています。

そうした中で、2024年問題への対応や改正物流二法も踏まえ、トラック運転手の働き方改革への対応が求められています。それを航空貨物においてもきちんと実施できるような形で、私どもがサポートできればと思っています。

――旅客分野では、交通空白地域への対応も課題です。

加藤氏 交通空白に関しては、現在、国土交通省で「交通空白解消本部」を立ち上げ、地域の自治体と連携して解消に取り組んでいます。我々としても、お困りの自治体があれば、伴走支援という形で寄り添い、取り組みを支えていければと思っています。

タクシーに関しては、今回の運賃改定もあり、若干収支は改善してきているのかなというところです。また、バスやトラックに比べると、運転手の方も少しずつ入り始めているように見えます。東京などでタクシー運転手の収入面が注目されていることも、周辺地域に一定程度影響しているのかもしれません。

ただ、都市部ではそうした動きが見られる一方、都市部以外の地域については、まだまだ運転手が足りないところがあります。そこについては、人材確保の取り組みで、できることがあれば対応していきたいと考えています。

――地域によってタクシー需要や人材確保に差があるという声もあります。

加藤氏 タクシーの地域格差は昔からある問題です。地方部で劇的にタクシー需要が増えるというのは難しい面があります。そうすると、公共交通としてのライドシェアとタクシーの組み合わせといったことを、自治体と一緒に検討していくことになると思います。

地域の足が足りないのであれば、様々な制度を用意していますので、それらの活用を提案しながら、自治体と伴走支援をしていければと考えています。

――成田空港では、不適切な営業を行うハイヤー等への対応も課題になっています。千葉特有の課題について、どのように見ていますか。

加藤氏 課題は地域、都道府県ごとに違う部分があります。千葉で言えば、成田空港におけるハイヤー等の不適切営業への対応があります。東京でも同じような課題がありますが、こうした問題は注目されるところでもあり、取り組んでいかなければならないと考えています。

不適切な営業が残っていると、適正に営業しているタクシー事業者に影響が出る部分があります。本来は適正な事業者につながるべき需要が、そうではない形に流れてしまう状況は、是正していきたいと思っています。

成田空港は移動需要の高い場所です。その分、適正に営業している事業者も多くいますが、一方で、その需要を背景に不適切な営業が入り込みやすい面もあります。そうした部分は、しっかり適正化していかなければならないと考えています。

――千葉県内では、圏央道の未開通区間の整備にも期待が寄せられています。

加藤氏 圏央道の未開通区間が開通すれば、人流や物流の動きが大きく変わってくると思います。物流が変われば施設もでき、そこで働く人も増えるので、また流れが変わってくる可能性があります。

それだけ便利になれば人の流れも変わりますし、房総方面の自治体は移住政策にも力を入れていますので、若い方が移住してくれば利用される方も増えてくるかもしれません。地域の自治体や県の政策がどういう方向性で進むかによると思いますので、我々としてもそこに寄り添っていければと思います。

――燃料や物価の高騰により、特に中小事業者から厳しい声が聞かれます。支局としてできることはありますか。

加藤氏 燃料や物価高騰については、運輸支局として直接対応できる部分は限られます。まずは事業者の声を丁寧に伺い、関東運輸局を通じて本省へ伝えていくことが基本になると考えています。

中小事業者が事業を継続できなくなり、利用者のもとに荷物が届かなくなるようなことがあっては本末転倒です。事業者が安定して事業を継続できる環境を確保していく必要があると考えています。

一方で、荷主から無理な要求を受けるようなことがあれば、トラックGメンの仕組みを活用して対応していくことも必要です。無理な運送や作業を求める荷主に対しては、トラックGメンが対応する仕組みがあることを広報していますので、そうした制度を活用していただくことも一つだと思います。

――人材確保に向けた取り組みについてはいかがですか。

加藤氏 かつて勤務した埼玉運輸支局では、令和7年2月、UDトラックス株式会社の協力を得て、退職予定自衛官を対象とした「大型トラック運転体験会&業界・企業説明会」を実施しました。同じ形で千葉で実施できるかというと、少し難しい面があります。ただ、何かそれに代わるものとして、できることがあればと考えています。

バスについても、各事業者が個々に取り組んでいる例は聞いています。千葉県では人材確保事業を行っていただいていますので、そうしたものも活用しながら、支局として取り組めることを考えていきたいと思います。


人材不足、成田空港をめぐる貨物・旅客の課題、交通空白、圏央道の整備、燃料・物価高騰など、千葉の運輸行政を取り巻く課題は幅広い。加藤氏の言葉からは、地域や業界ごとの実情を見極めながら、関係者の声を必要な支援につなげようとする姿勢がうかがえた。


続いて、加藤氏の人となりが伝わる話題として、家族や休日の過ごし方について聞いた。


――ご出身はどちらですか。

加藤氏 出身地は埼玉です。採用は所沢でした。その後、しばらく埼玉県内での勤務はありませんでしたが、埼玉運輸支局で次長として戻ったのが久しぶりの埼玉勤務でした。千葉県内での勤務は今回で4か所目になります。

――ご家族について、差し支えない範囲でお聞かせください。

加藤氏 家族は妻と子ども二人です。長男は独立しており、現在は妻と娘と暮らしています。

――趣味や休日の過ごし方についてお聞かせください。

加藤氏 休日は、ペットの世話をしていることが多いです。金魚を飼っているのですが、水の生き物なのでいろいろと世話をしなければなりません。季節によって水の汚れ方が変わったり、水替えのタイミングを早くしなければならなかったりと、結構時間が取られます。

――金魚は長く飼われているのですか。

加藤氏 金魚すくいで取ってきた、ごく普通の赤い金魚です。それが今では大きくなって、水槽が狭いくらいになっています。7、8年くらいになります。

水の生き物は見ているだけでも癒されます。最近、卵も産みました。今4匹いるのですが、そのままにしておくと卵が食べられてしまうので、水草にくっついていた卵を分けたところ、孵化しました。本当に小さいのですが、見ていると5、6匹くらいはいます。これが大きくなるのかどうか、楽しみです。

――水槽の管理もご自身でされているのですか。

加藤氏 水換えには本当に気をつけなければなりません。水を変えるのは私の仕事のようになっています。

もともとヌマエビを飼っていた水槽がありました。水槽のコケ取り用に飼っていたのですが、金魚と一緒にすると食べられてしまうと聞いたので、別に飼っていました。その水槽に子どもの金魚を移したので、今はエビと金魚を一緒に見守っています。



成田空港、交通空白、圏央道、人材確保など、千葉の運輸行政を取り巻く課題は多岐にわたる。取材を通じ、加藤氏からは、地域や業界の声に耳を傾け、必要な支援につなげようとする姿勢に加え、金魚の世話を語る穏やかな人柄も伝わった。

新千葉運輸支局長プロフィール

加藤 幸生(昭和47年7月生)

出  身  地   埼玉県

家族構成 妻・1男1女・金魚

〈略歴〉

1992年4:月 運輸省(現国土交通省)入省

(中略)

2014年:10月 関東運輸局自動車交通部旅客第一課主査

2015年:4月 関東運輸局自動車交通部旅客第一課専門官

2018年:4月 関東運輸局総務部人事課 課長補佐

2020年:4月 関東運輸局千葉運輸支局 首席運輸企画専門官

2021年:10月 大臣官房運輸安全監理官付運輸安全調査官

2023年:4月 関東運輸局総務部人事課 課長

2025年:4月 埼玉運輸支局次長

2026年:4月 現職

関東運輸広報

昭和24年より発行する国土交通省 関東運輸局の広報誌

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