茨城運輸支局 「交通バリアフリー教室」
関東運輸局茨城運輸支局(支局長 勝家 省司)と水戸市(市長 高橋 靖)は(公社)茨城県地方自治研究センター(理事長 鈴木 博久)、(一社)茨城県バス協会(会長 任田 正史)、茨城交通㈱(代表取締役社長 任田 正史)協力のもと、令和7年9月16日から10月23日にかけて、講師に茨城県地方自治研究センター研究員である 有賀 絵理先生(写真最上段)を招き、水戸市内の小学校5校の4年生を対象に、公共交通機関の利用をテーマとした「交通バリアフリー教室」を開催した。児童たちは、車いすや高齢者疑似体験を通して、移動に困難を抱える人々の状況を体感し、互いに助け合う「心のバリアフリー」について理解を深めた。
教室では、スロープ付きの路線バスが校庭に横付けされ、茨城交通の協力のもと、車いすでのバス乗降体験が行われた。児童たちは、車いすに乗ってバスに近づくと、バス乗車へスロープを押して上がることや、車いすを抑えながらバスから下車することが想像以上に難しいことを実感していた。
また、重り付きのベスト、手足の関節を曲がりにくくするサポーターを装着する高齢者疑似体験も実施された。児童たちは、重い身体が思うように動かせない状況を体験。この状態でバスの乗り降りを試みると、手すりを強く握ってゆっくりと上り下りする様子が見られた。
一連の体験を終えた児童たちからは、「この体験をすることでいつも元気なおばあちゃんが、どんな気持ちでいつも生活しているのかを自分で確かめることができたので、とても良い経験になった。」などといった感想が聞かれた。
有賀先生からは、声かけの言葉選びの重要性について話があった。多くの人が、困っている人に対して「大丈夫ですか?」と声をかけるかもしれない。しかし、当事者の気持ちになると、何度も「大丈夫ですか?」と聞かれることに申し訳なさを感じ、助けを求めることをためらってしまうことがあるという。一方、「お手伝いしましょうか?」という声かけは、相手に寄り添い、自ら手助けを申し出る姿勢を示すことで、相手が助けを求めやすくなる。このわずかな言葉の違いが、当事者の気持ちを大きく変えることを、子供たちは体験を通して学んだ。また、路線バスのスロープや街中の段差解消など、設備の面でのバリアフリーが進んでいることに触れつつも、それを生かすには人々の心のバリアフリーが必要だと述べた。困っている人を見かけたときに、勇気を出して「お手伝いしましょうか?」と声をかけることで、当事者はもちろん、周囲で見ている人々、そしてバスの運転手など、多くの人が温かい気持ちになる。この一言が社会全体に広まることで、優しさと思いやりのある共生社会が築かれていくと話した。
茨城運輸支局 柿本 憲治首席運輸企画専門官は、教室の最後に「車椅子の方や、介助する人はバスに乗るだけでも大変なんだ、バスだけでなく普段の生活でも色々と困る事があるのだろうな、そういう時はお手伝いできたらいいなと思ってもらえたら、そしてその気持ちをずっと忘れないでくれたら、私たちとしてもとても嬉しいです。」とし、「関東運輸局は、こうした体験を通じて、一人ひとりが互いを思いやり、協力し合える社会の実現を目指しています。」と話した。
児童たちは、今回の学びを通して、多様な人々が暮らしやすい社会について考える貴重な機会を得た様子だった。
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