澤井 俊新関東運輸局長就任記者会見
「物流業界も理論武装を」 価格交渉や待遇改善の重要性強調
関東運輸局は9月16日、新局長に就任した澤井俊氏の就任記者会見を開催した。澤井局長は就任の挨拶において、災害対策や管内の各種施策に対する抱負を述べるとともに、価格交渉の適正化や物流効率化、海運事業における船員確保など、課題が山積する交通・物流産業の現状について強い意欲を示した。
「持続可能な物流」へ、価格転嫁と現場の効率化を推進
澤井局長は、10年前の交通政策部長時代に取り組んだ共同輸配送の推進や、経済産業省出向時に携わったフィジカルインターネットの推進など、自身の経歴に触れ、「物流は効率性を追求することが極めて重要であり、生産性の向上がそのまま事業者の収入増加につながる。」と指摘。現在展開されている施策について「マーケットメカニズムを適切に機能させるための取り組みである。」とし、価格交渉の定着や適正原価等の制度周知、さらには内航海運の活性化に一層注力する姿勢を示した。
また、すべての交通産業の根幹として「安全・安心の確保」を提示。「現場で安全確保のアクションを起こすのは事業者の方々である。行政は現場に最も近い存在として指導や支援を行い、国民の代理人として安全を確保する役割をしっかり果たしていきたい。」と語った。
記者会見における主な一問一答
――価格交渉や現場の効率化に取り組む物流事業者への助言は。
澤井局長 物流事業者も「理論武装」をして交渉に臨むべきだ。世間一般の値上げ理由には「人件費・物流費・原材料費の高騰」がよく挙げられるが、物流費が上昇しているにもかかわらず事業者に還元されていないのであれば、交渉の余地がある。商品価格に占める物流費割合を算出し、適正な還元を求めてほしい。他産業で企業物価指数が上昇している中、物流だけが据え置かれるのは不自然であり、他産業並みの引き上げを積極的に交渉してほしい。
――海運事業における深刻な船員不足への展望は。
澤井局長 前職の海上保安庁総務部長時代にも人材確保を担当したが、非常に苦戦した。認知度を上げるだけでは不十分で、現在の学生や求職者は労働環境の「中身」をシビアに見ている。結局のところ、待遇を改善しなければ人材獲得競争には勝てないのが現実だ。
――荷主企業から見て最大のリスクや懸念点は何か。
澤井局長 荷主、とりわけメーカーにとって最大の恐怖は「サプライチェーンの分断」だ。トラック不足等で物流がストップし、生産ラインの停止や売上低下を招く事態は絶対に避けたいはずだ。極端に言えば、「輸送が止まるくらいなら、費用を払ってでも運んでほしい。」のが荷主の本音ではないか。
物流事業者が輸送体制を維持するために投資を行い、待遇改善によって人材を確保することに対し、荷主側の理解と協力を得ながら進めていくことが基本的な方向性となる。
【プライベートの一コマ】
記者から休日の過ごし方や趣味について問われると、「昔は釣りに行っていたが、現在は健康維持のためランニングやジム通いをしている。趣味と言えるかはわからないが子育てで、夕食作りは自身の担当。子どもが幼い頃は送迎も担っていた。」と笑顔を見せ、家庭的な一面ものぞかせた。
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